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オッペンハイマーのmocoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
アカデミー賞の授賞式を観たら、俄然観たくなった。
キリアンが「世界のピースメーカーに」とスピーチで語ったのが印象的だった。
お騒がせした2作品に出演した、本作のエミリー・ブラントとBarbieライアン・ゴズリングのプレゼンターのくだりも、なかなかだった。


忘れてはいけない。
そういう思いをノーラン監督が残せるうちにと思ったのかなと。
世界中の熱狂的ファンが望むモノでは無いとは思うけど、影響力がある事を分かっての作品作りだったのであれば、ありがとうと伝えたい。

画で魅せた「ダンケルク」
現場の鬼気迫る恐ろしさを感じた。

今回は言葉攻め、本作「オッペンハイマー」
世界の秩序を一変させてしまった歴史をノーラン節を効かせて凄まじい音響とこねくり時間枠で魅せる。
内容は日本人である以上、娯楽エンタメとは言えないけれど、2つの公聴会程度の流れでよくもあそこまで引き込んでくれるもんだなと。そして余韻がけたたましい。昨日は頭をグルグル、寝れなかった。
競争が無ければ、
抑止力なんて言葉が無ければ、
あの時代にナチスが先に成功していたら、
物理学が注目されなければ、
もっと言うならオッペンハイマーが生まれなければ、、、
キリはないが、考える事に意義があると信じたい。

開発チームの成功までの過程の抑揚と、
科学者の実際に武器として使用されてしまった後の罪悪感。
ドラマもしっかり。

2時間半、逃げれない、巻き戻せない、停止出来ない濃厚な空間で観ることが出来て良かった。今でもしきりにあの時代に心を奪われつつも、100年後にはAI開発の第一人者の善悪を含めた伝記が描かれるのかなぁなんて考える昼下がり。数年前に丹下健三先生設計の平和記念公園を子ども達の様子をうかがいながら歩いた事も思い出す。

忘れてはいけない。




11834
(昨日は7000番台。半日で+4000のレビュー。ノーラン監督の根強い人気がうかがえる)



以下、ちょいネタバレ。







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エミリー・ブラント演ずる妻の科学者を励ます姿はあっぱれ。
ジョシュ・ハートネットが頭脳派の役を演じていたのが嬉しい(わりとポンコツ役が多い)
アインシュタインと同じ時代だったのかとあまりにも昔の人と思い込む自分がダサい。
身近な音で駆り立てる音響に仕上げていたのが印象的。
ラストの時系列が分からなかった😭😭😭😭😭😭😭今度はメモと一緒に家でじっすり再鑑賞したい。
オッペンハイマーは浮気まで出来てスピーチで鼓舞までできる人柄だったのは意外。いわゆる科学者不器用気難しいタイプじゃないのが、本作で描かれた苦悩が全てではないのだろうと思わせる。そこに脚本の中立性を感じ取れて好感。
「アラビアのロレンス」でもそうだったけど、個人の華々しい理想を国が支えると黒幕が必ず居る…オイシイ話は無い。
「限りなくゼロに近い」科学者や数学者が言うこの言葉の気持ち悪さ。いゃ、もぅ滅亡力100振り切ってますから。机上から離れ、欲が100に持っていってしまってますから。
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