スギさん

オッペンハイマーのスギさんのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2024.3.30 70本目
すごかった。
まず画面から読み取れる情報と感情の処理の限界を試されてるのかと思うほどの情報量だった。
3時間ギッシリ。 かなりのハイテンポでどんどん進んでいく。
オッペンハイマー 視点の聴聞会。からの回想。
ストローズ視点の公聴会。からの回想。
の複数の時間軸で進んでいくノーランのスタイルは今回も健在。同じシーンを視点を変えて何度か繰り返すのはダンケルクやテネットに似てる。
原爆実験シーンの緊張感と恐怖感は味わった事がないほど強烈だった。
聴聞会の奥さんの前に現れる全裸のオッペンハイマーと愛人のラブシーンも強烈だった。見た事ない。
オッペンハイマー 自身は天才だけど天然な人物で悪気なく人を傷つける事がある。ストローズを傷つけているなんて全く思ってなかった。あのすれ違いは切ない。

オッペンハイマー 視点の物語のはずだけど、オッペンハイマー 自身の心理描写は少ない。代わりに色々なビジョンを見る。 理論の結果がイメージとして見えてしまうんだと思う。
原爆投下の惨状がもう見えているオッペンハイマー に歓声が投げかけられるシーンのギャップ。苦しい。 押しつぶされそうになる。
逆に広島長崎の現実を記録したフィルムは見る事ができない。 あのシーンも怖い。
水爆開発に反対して聴聞会を受ける事を贖罪に利用してるのかと奥さんに問われるシーンはキツいけど核心を突いてると思う。

ラストにアインシュタインと大気には引火しなかったけど火をつけてしまったと語るシーンで見るビジョンは一番恐ろしかった。
世界に核の選択肢を与えてしまって、もう2度と元に戻す事はできない。世界を変えてしまった事は償う事ができない。
↑という事を踏まえて恐ろしい選択をしないようにしていくしかないので、まずはこの映画が作られて良かったし、日本で公開されて良かったです。
スギさん

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