絶え間のない緊張感ばかりが続く3時間。いつものように時間軸を生真面目に操作するノーランは、初めてだという性交描写も生真面目だった。人類の叡智が結晶された爆発を幻視するときの閃光、火炎、暴風、人体損壊などは、生真面目というよりはありきたりかも。ロスアラモスにおける真の主役は実験に使われた「ガジェット」だ。このガジェットが徐々に完成してく様が念入りに描かれる一方で、広島に投下したリトルボーイや長崎に投下したファットマンは、ロスアラモスから搬出される場面はあっても、製造過程は省略されている。広島と長崎の爆発を直接描かない方針がここでも貫徹されている。
『デューン Part2』と同様に、IMAX撮影作品はIMAXで観るのがよい。映画とは別の体験ではあるけれど。