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殺しを呼ぶ卵のmat9215のレビュー・感想・評価

殺しを呼ぶ卵(1968年製作の映画)
3.0
ジャン=ルイ・トランティニャンの変態ぶりや、登場人物たちが殺人に至るまでの愛憎劇や、首なしニワトリの創造をめぐる科学技術盲信批判などよりも、ニワトリへの執着ぶりに感銘を受ける。ニワトリの赤いトサカと白い羽毛が全編のベースカラー。建物の屋内はもちろん広大な養鶏場にも白い光が溢れていて、要所に赤いアクセントカラーが配置される。ニワトリへの執着は色だけでない。ニワトリ協会のオフィスには大きな卵のオブジェが設置され、オフィスにも邸宅内にもニワトリをモティーフにした様々な絵画が壁を飾っている。もちろん、ニワトリのアップも多数。物質としての金(きん)を巡るストーリーに終始した『情け無用のジャンゴ』と同工異曲だ。極端なクロースアップが多いのはこの時期のイタリア製西部劇と同じ。トランティニャンは役柄を選ばない人だ。イタリア映画への出演作では『殺しが静かにやってくる』はよかった。
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