瀬賀喜太郎

オッペンハイマーの瀬賀喜太郎のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

正規画角となるエキスポシティのIMAXにて鑑賞。

まずは遅れに遅れましたが日本公開に踏み切ってくれた配給会社に感謝。

ただの誹謗中傷は論外だが原爆投下の是非やこの映画の作中の表現に関する意見は各々の感情、見解なのでどんどん出ていいと思う。

そういった意味では当初絶対日本公開されると信じていたが、あまりに遅かったので最悪日本公開無いんじゃないかと思ったが、公開されて色々な意見が出るのは良い事だと思う。

「議論が起こる」は決して否では無い。

日本人として原爆投下後の街や人々の描写がほぼ無いという点については、公開前の監督のインタビューや各種情報で納得したつもりだったが、やなり鑑賞後は物足りなさを感じてしまったのも事実。

自身の娘を皮膚の爛れた被爆者として登場させた点など監督の思いも伝わったが、やや表現が甘いと感じた。

あくまでオッペンハイマーの物語であり、原爆の被害を訴える作品では無いが、当時映像の無かったブラックホールを数々の科学的な根拠を基に映像化する等、映像の持つリアリティや説得力に拘ってきた監督だけにそこには物足りなさを感じた。

是非この作品を観て何かを感じた海外の方は「この世界の片隅に」や「火垂るの墓」関川秀雄監督の「ひろしま」等を観ていただきたい。

ノーランならオッペンハイマーの功績と罪と苦悩というストーリーの邪魔をしない範疇で被爆の真実の描写を両立させる作品が撮れたのではないか?

とはいえ、昔は原爆投下は戦争を早く終わらせる為には必要だったという意見が多かったそうですが、今は否定的な意見も増えてきているとの事なので、そういった世代的なものを含めた転換期にこの映画が撮られ、注目されるのは意義ある事かもしれない。

核弾頭付きミサイルが次々と打ち上げられる事を想起させる空と雲を写すシーンが何度か挿入されるが、ロシアによるウクライナ侵攻の現状や今朝もあった北朝鮮のミサイル打ち上げの速報が入る度にこの状況に慣れる事無く考えていきたい。