近年は3時間超えの長い映画が増えている傾向があるが、その中でも観た後の疲労感が半端なく来る抜きのない重厚な映画だった。
テネットみたいにさっぱりわかりませんって訳にはいきません。
登場人物はかなり多く名前と顔を一致させるのが大変、会話のテンポも速く小難しい話を沢山しているので、何度も気持ちが萎えそうにもなったから、ある程度もう少し予習が必要だったかな。
大軸はオッペンハイマーの葛藤の話。
ナチスに先越されるのを恐れ、早急に原爆の開発を進めるアメリカの大計画のトップになったオッペンハイマーが、どのようにして原爆開発成功まで行われていったのか。
自身は違うが愛すべき身内に多かった共産党、どこにスパイや裏切り物がいるかわからない不安、原爆の脅威と次第に見えてくるその後の未来、様々な事を悩み考えながら役目をはたしていくが、オッペンハイマーはとても複雑で矛盾も沢山ある人間味のある人で興味深かった。
もうひとつの軸も見応えがあった。
カラーのシーンとモノクロのシーンが行ったり来たりと混乱するが、次第にそういう事だったのねと、ボンヤリとわかってくる人間ドラマ、配役もなるほど。
ほとんどが会話劇のなか、異質な原爆実験成功のシーンは緊張感と大爆発の映像や音が凄まじく見応えがあり、その後を考えると悲しみが溢れた忘れられないシーンだった。
面白い映画だったかはわからないが、こういった事柄を知れる、思い出させるきっかけになればいい重要な映画。
どんどん時が経ち忘れていったり、若い人達は知らなかったりもするだろうし、オスカーやゴールデングローブ獲ったのも大きいので、世界中で観る人が増えればいいなと思う。
