オッペンハイマーのKuのネタバレレビュー・内容・結末

この作品を観ると、原爆の父であるオッペンハイマーをただただ責めるという気持ちにはなれなかった。
途中で原爆を作ることを放棄していたとしても他の誰かが完成させていたのは間違いないと思う。
ただ、完成した瞬間に喜び合う姿、オッペンハイマーを賞賛するシーンはあまりに痛々しくて見ていられなかった、、
多くの人が平和を望んでいるからこそ、一生戦争はなくならないという矛盾を改めて痛感させられた作品でした。

終始流れる急かされるような音楽がドイツよりも早く原爆を作らなければならないと考える科学者たちの焦りや主人公の抱く不安、原爆が完成していく恐怖感、緊張感を上手く表現していたように思った。

ラストは誰かが言っていた人類や地球を滅亡させるのは人類なんじゃないかという懸念を想起させ、好奇心や知識という不可逆的な危うさ、交錯する人々の思惑によって人類は滅んでしまうのではないかという恐怖を感じさせるシーンでした。

直視できないような辛いシーンもあるけど、日本人だからこそ深いところまで考えることができる作品でもあるのかなと思いました。