野生のオーガポン

オッペンハイマーの野生のオーガポンのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

良い作品を見れた。
国内で色々な意見はあるが変に色眼鏡をかけることや評価を下げる必要はない。

作中ではオッペンハイマーは自分に正直で自由な人という印象。
欧州での遊学やオランダ語やサンスクリット語の習得、共産主義の原典読破、機密保持について進行の邪魔ならば無視することを平気で行なったりする。
それが付け入る隙となり反感から貶められるハメになる。

最初は愛国心からドイツの優秀な科学者に出し抜かれないよう尽力していたが、途中世界を燃やし続ける可能性をきっかけに世界の在り方を考えるようになっている。
個人的には決定権はないという発言が印象深かった。
ラビがいたから彼は政治屋ではなく科学者として在れてまたテラーにも慰留を促し握手もしたし署名はしなくとも投下反対の意見を陳述することもできたと思う。

当時求められていたとはいえ決して原爆賛美の映画ではない。
結局はこれを見て各々がどうするかが重要なことだと思う。
色々な批判意見があるが私個人は核の拡散、軍備競争が著しい現在に対するアンチテーゼ作品として鑑賞した。
描写に不満や被害者の気持ちが〜という人はそれを発信すれば良いだけ。
紐付けての批判は問題を二元論化し矮小化するだけ。
アカデミー賞にかこつける卑しい靴売りのようにはならないように。

後世に生きる我々は過去の出来事を認識してより良い未来を次の世代に渡すことが大事だと考えさせられた。
彼は自分に忠を尽くしたのか国に忠を尽くしたのかどっちだろうね?