朗らかなこっぺ

オッペンハイマーの朗らかなこっぺのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
 その天才は、悪魔か殉教者か―。
 日本人としては当然良い心地のする映画ではないのだけど、オッペンハイマー個人の生涯と激動の時代との間に生じた、うねりや歪みのようなものをナマモノとして描き出すことに注力しているように感じたし、実際それは成功していると思う。
 量子力学の世界では二重スリット実験などに代表されるように、「"観測者が存在するまでは"すべての物質は波であり粒である(つまり、神はサイコロを振る)」と言われている。それと同様、この作品も私たち鑑賞者が何らかの意図を感じて初めて形として立ち現れてくるものなのかもしれない、監督の狙いがあるとしたらそういうことなのかもしれない、と考えさせられた。
 それにしてもアインシュタイン役のトム・コンティさん、仕上げて来すぎじゃないか?本人かと思う程にアインシュタインそのもの。すごい。