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オッペンハイマーのぽにのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
原爆が題材でセンシティブな内容だったが、史実に基づいていて、登場国どれにも偏っていないように感じた。

当時のアメリカ情勢は、赤狩りの時代で共産主義の人は理不尽なまでに裁かれていたことが描かれている。歴史には疎いが、このように政治的な思想を自由に持てず迫害された人がたくさんいたのだろうと思った。

また、政治と科学の関係性にも考えさせられた。国の要請があって予算がついて、研究が可能となるため、政治と科学は不可分だということを知った。オッペンハイマーは、研究をしている間は、研究者として原爆を完成させることが正義だと考えていたのだろう。しかし、トリニティ実験で原爆が完成した時に初めて、実際に使われる場面を想起し、一人間としての倫理観が芽生え、その様子が表情に浮かんでいるように感じた。

昨今ロシアウクライナ問題といい、世界情勢が不安定なこのタイミングでの公開ということで、改めて戦争や核に関して世界の人々が考えるきっかけになったと思う。

最後に、政治観や倫理観、一人間としての感情など様々な要素を三時間の映画に詰め込んで、メッセージを伝えられるのは、ノーランだけでは?と思った。
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