けんくり

オッペンハイマーのけんくりのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
世界を根底から変えてしまうほどの重大なターニングポイント。それはどれも不完全な人間の意思決定によって引き起こされている。

偉業でも災禍でも、世の中に大きな影響を及ぼす人物も等しく「人間」で、オッペンハイマーほどの天才でもそれは同じ。

若気の至りで急進的思想にハマったり、女性関係での過ちを引き起こしたり、態度やスタンスがコロコロ変わったり、それで足元を掬われたり、見栄やプライドが目を曇らせたり…。でもそれが人間で人生というもの。

作品中でその名が言及もされたけど、核戦争を防いだ"英雄"たるJFKだって、女性関係はだらしなかったことで有名。

そんな間違いだらけの人間たちが寄り集まって、妥当なのかもわからない意思決定を行った、その末の世界で、自分は生きているのだなと改めて自覚した。

原爆の父たるオッペンハイマーはとっくに亡くなっているわけで、そんな「破壊された」世界が正しかったのか間違っているのか、判断を下すのは今を生きる我々なんだと思う。(最後に目を瞑るのはそういうメッセージだと受け取った)