アカシアの雨

オッペンハイマーのアカシアの雨のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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科学者の倫理にフォーカスした話というよりは、組織内で他人のメンツを潰したらやり返される話だった
その意味では星新一「人民は弱し官吏は強し」を連想した、あれは「ネゴに長けてないひとが無自覚にひとのメンツ潰したらやり返された」話だと思ってるので
戦争相手の人命など小さなこと!出世の方が大事!という意味ではD・ハルバースタムの「ベスト&ブライテスト」
世の趨勢が動いた時に切り捨てられるのは政治ができないひとという怖さ

ジーンの直接的なセックス絡みのシーン、要るか???
最近こういう“サービスシーン”みたいな演出は減ってきている印象があったので、いい印象がない
ノーランがボーイズクラブ的な支持を集める作家と思えば納得もしやすいが

オッペンハイマーは終始目がすわってるもののひとを惹きつける力はあったのだなというのは生徒が増える描写と議論でたいしたこと言ってなくてもオーディエンスが味方についてくれてる雰囲気あたりか
だからこそストローズは腹立つのかもしれないが、映画の中ではあんまり人を惹きつける魅力として説得力が得られるような演技ではなかった

オッピー!!と足を踏み鳴らして迎えられるところで焼け爛れた人や死体を幻視するのは、起こりうる事態をかなり予想できてたのかと疑う

その場での大義名分さえ通れば小理屈はどうにでも辻褄は合わせられるが、あとから世論的に責められるべき事態が生じれば贄が捧げられる

あまりキャスト細かく調べずに観に行ったのでトルーマンはゲイリー・オールドマンだよな?と思いながら観ていた