2度目
究極の再現VTRだった。
人類が火薬を手に入れたことで騎士階級のあり方が大きく変わったようにオッペンハイマーも世界の仕組みを大きく変えた。
火薬と並ぶインパクトをたった独りの人間が人類に与えた(そう評価された)ことが周りの人間や彼にどのような対価を支払わせたか精彩に描いてる。
オッペンハイマーは最終的に自分の人生をもって支払うこととなった。
1度目
オッペンハイマーの想像力、先見性を映像化している部分の解像度が兎に角高い。この映画にキューブリックを感じたのは映画の文法よりも映像としての強度を優先させているように感じたところにある。
この作品はアカデミー賞を取るべきである(実際2023年度最多受賞を成し遂げた)。正確にはアメリカのアカデミー賞を取るべきである。素晴らしい傑作であるからではなくこの映画がアメリカ人のフロンティアスピリッツが払うべき代償を強く示唆しているからである。
ノーラン監督はアメリカで唯一の’’大衆を相手に超大作を撮る現役の映画作家’’である。その彼の一つの重要な通過点に今作はなった。しかし彼はまだゴールにはたどり着いていない。僕はそう断言できる。これほどの傑作を創って尚まだ上があるといえるのが彼の恐ろしいところである。
要するに想像力が世界に与える力。