リルスギーチャン

オッペンハイマーのリルスギーチャンのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
人類の手ではもはや制御できない強大なエネルギーを手にした時点で平和は訪れない。権力に利用されるのみなんだなと感じた。

自らの手で核爆弾を開発してしまった科学者であるオッペンハイマーの苦悩。そして自らの欲と政治のために躍起になるストローズや水爆を推進する政府などを見ると、核がなぜ存在してはいけなかったのかというのがわかる。政治はクズだった。

科学者として発明し科学者として反対する。自身の業績でもあり罪でもある。信じるもののためにオッペンハイマーはいつまでも忠実であったことは確かだしそこに共感した。

またアメリカ側から見れば日本もドイツの同盟国にすぎないこと。第二次世界大戦の中で原爆投下の大義名分を与えてしまった過程もわかるようになっていた。軍拡競争の中で一つでも核が存在すればそれがさらなる核を生む悪循環が作り出される。だから一つでも存在しているうちには新たに武器が生まれていく一方なんだろう。

科学や核について考えるきっかけになった。