みっちょば

オッペンハイマーのみっちょばのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
『#オッペンハイマー』を観ると『#太陽を盗んだ男』を思い出す。











原子爆弾の開発の父、オッペンハイマーの人生そして苦悩を描く超巨編。

なかでも学生時代の量子力学を学ぶようになった経緯で、数式を音楽を聴くように解いた映像は宇宙遊泳をしているようで凡人でも「なるほど~」と感じる。

やがて、第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」に オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。


しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆく。




モノクローム画面が時の政治家の立場、カラー画面がオッペンハイマーの立場を表している。核のなかにオッペンハイマーが遊泳するシーンがあり、科学者としての夢を垣間見る。


ここで、個人的に1979年「太陽を盗んだ男」を観たことを思い出す。

「太陽を盗んだ男」のストーリーは以下(Wikipediaより)

「中学校の理科教師である城戸誠(沢田研二)は、日頃から遅刻を繰り返したり無気力な教師であった。

そんなある日、生徒たちを引率して原子力発電所の社会科見学を終えた時、突如として大量の火器を持つ老人にバスジャックされる。彼の要求は「ただちに皇居へ向かい、天皇陛下に合わせろ」。誠と生徒らを載せたバスは一直線に皇居へと向かう。

事件を解決すべく、丸の内警察署捜査一課の山下警部(菅原文太)らによる犯人確保と人質救出作戦が始まった。山下は誠と協力し、老人の前に白旗を持って現れる。生徒達を盾にしてバスを降りてきた老人を、山下は咄嗟に取り押さえる。そして狙撃犯により老人は倒れ、山下は自ら傷を負いながらも救出してみせた。一連の出来事に誠はただ圧倒されるしかなかった。

それから誠は変わった。休み時間に学校のネットをよじ登る、授業は学級崩壊を気にせず延々と原子力や原爆の作り方についての講義を行う等の奇行が始まった。しかし、これは彼がこれから起こす犯罪のためのトレーニングだった。

ある日、誠は茨城県東海村の原子力発電所から液体プルトニウムを強奪し、アパートの自室で悪戦苦闘しつつも原爆を完成させた。そして、精製した金属プルトニウムの欠片を仕込んだダミー原爆を国会議事堂に置き日本政府を脅迫し、その交渉相手として山下警部を指名する。

誠の第1の要求は「プロ野球のナイターを試合の最後まで中継させろ」。電話を介しての山下との対決の結果、その夜の巨人対大洋戦は急遽完全中継される。快哉を叫ぶ誠は山下に「俺は『9番』」と名乗る。

第2の要求を何にするか思いつかずに迷う誠は、愛聴するラジオのDJ・ゼロこと沢井零子(池上季実子)を巻き込む。多数のリスナーも交えた公開リクエストの結果、誠の決めた第2の要求は「ローリング・ストーンズ日本公演」。これにも従わざるを得ない山下だったが、転機が訪れた。原爆製造のため借金したサラ金業者に返済を迫られた誠が、出した第3の要求「現金5億円」であった。山下は現金の受け渡しなら犯人は必ず現れると奮起する。電話での会話を好む、逆探知の時間を把握していてギリギリまで話す誠のクセを逆手に取り、電電公社に電話の逆探知時間を短縮させる罠を仕掛ける山下。その作戦は的中し、逆探知により誠が東急デパートの屋上から電話をしていることが判明し、東急デパートの出入口を警察が封鎖する。初めて作戦が失敗した誠はトイレに駆け込むも歯茎から出血、突然の吐き気が襲うなど被曝の症状が進んでいる事を知り、動揺もあり封鎖を突破することが難しいと観念した誠は、山下に原爆のありかを教え、原爆のタイマー解除を交換条件として、持ってきていた5億円を屋上からばら撒くことと封鎖を解くことを指示する。一万円札が空から降ってきて大騒ぎになっている街の中を、誠は逃げ切ることに成功する。

原爆を回収した山下たちは、起爆装置を解除することに成功したが、解体までは作業が進んでいなかった。誠は原爆が保管されているビルを襲い原爆を奪取すると車で逃走、追跡する警察との激しいカーチェイスの末、零子が事故の巻き添えになる。誠は一時的な感情の落ち込みを見せるものの、無表情のまま再び原爆を組み上げるのであった。

ローリングストーンズ公演の日、ついに山下と誠は対峙する。ローリングストーンズの来日はもともと予定されておらず、観客にわざと暴動を起こさせ全員まとめて逮捕、その中から犯人を洗い出すという作戦であった。誠は山下を原爆を置いていたビルの屋上まで連れて行って銃で撃つが、銃弾を何発も身に受けながらも、山下は誠を道連れにしようと屋上から転落する。山下は全身を強打して殉職したものの、誠はどうにか生き長らえる。

誠は被曝で弱った上に転落で負った怪我で流血が止まらないまま、原爆を持ちながら街を歩き、やがて30分が過ぎる。」
(「太陽を盗んだ男」あらすじ終了)

クリストファー・ノーラン監督はもしかしたら、『太陽を盗んだ男』に影響を受けて『オッペンハイマー』を製作したのではないのだろうか?

『太陽を盗んだ男』主演の沢田研二は後に原発反対を唱えた政治家の選挙で応援演説をしている。

『オッペンハイマー』を反戦争映画ととらえるかどうかは、観る者各自に委ねられるところ。しかし、日本人として、命を奪うような核使用には遺憾を覚えた。
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