あきんちゃん

オッペンハイマーのあきんちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

まず、見てよかったなと感じた。学生時代に習った原爆を作ったオッペンハイマーという人物が、当時は字面でしか知らなかったため非情な人という理解でしかなかったが、この映画をみて覆された。
実験成功に喜ぶシーンや広島・長崎に原爆を落とすかという会議など見ていて苦しくなるところはあった。おそらく、被爆国としての立場である私たちと彼らでは、映画として戦争を終わらせるための原爆が良しだという表現はないものの、感じ方はかなり異なるとおもう。だが、当時のドイツ・ソ連の脅威に対するアメリカの立ち位置やマンハッタン計画に携わる科学者たちの心境などは、知れてよかったとおもった。
見る前は原爆を作る過程にフォーカスを置いているのかと思ったが、戦後の赤狩りが合間にかなり挟まれていて、オッペンハイマーが名声を上げたあとの、没落(?)していくシーンも印象的だった。天才というだけで終わらせず、彼自身の葛藤や人間みのあるところが描かれていて好きだった。
また、予習なしでは難しいところはあるものの、アカデミー賞を受賞しただけの完成度の高さを感じた。クリストファーノーラン監督による映画全体の構成はもちろん、キリアンマーフィー、エミリーブラントを筆頭とした真に迫る演技は凄かった。
また、IMAXで見たため、一つ一つの音が粒のように振動を持って伝わり、3時間という長さを感じさせず迫力があった。
ちょっとまだ整理しきれていないところもたくさんあるが、かなり考えさせられる映画だと思う。

時代の行き来や専門用語など複雑なところはたくさんあったが、事前に予習していたため割とすんなり物語に入れた。ナチスドイツや共産主義など時代背景を理解していた方が、楽しめると思う。