抱え込みすぎ。原爆の開発よりもむしろそれに伴ってくる苦悩が大部分を占めている。周りからの期待に応えようとするあまりに、かえって破滅していくドラマといったところ。でも感情任せで幼稚な分、周りの人間に合わせすぎた男の末路とも取れる。正解のない世界にいる科学者たる所以か。でまあ三時間のドラマをあっという間に感じさせる力はさすが。取り残された部分を的確に繋げてくれるからより入り込める。強いて言うならオッペンハイマーの主観のなかで響き合う音がワンパターンでちょっとだけ飽きてきていた。「インセプション」のときもそうだけど、キリアン・マーフィーはおどおどした演技が光る。今作じゃまるで原爆開発にインセプションされたみたい。って誰かが言ってそう。
