中村児童

オッペンハイマーの中村児童のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

原爆の父と呼ばれるオッペンハイマーの伝記としてみれば面白い。
ただ、戦争に関する「葛藤」を描いた作品として見るならば、敢えてその欺瞞を問いたい。

オッペンハイマーに可能なのは、ナチスとの競争という言い訳の下、来たるべき民間人の犠牲に目を背けながら、自らの使命を全うすることであり、それ以外に選択肢はなかった。

彼が、どれだけ自らが可能にした殺戮に呵責を感じたとしても、過去は変わらないのだ。

アメリカ的な「反省・反戦観」にもどかしさを感じずにいられないのは私だけだろうか。
失われた人々へ思いを馳せることが可能になったということが、現代におけるアメリカなりの「反省」の到達点であり、厳しく言えば「想像力の限界」なのかもしれない。
中村児童

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