世界を一変させてしまった原子力爆弾の生みの親、オッペンハイマーの苦悩。ユダヤ人であるオッペンハイマーが、ナチスに勝つために原爆を開発する流れは至って自然。しかし、一度使ってしまえば世界は変わってしまう。人類にとってのプロメテウスとなったオッペンハイマーの苦悩はそこから始まる。
日本人に限らず、全ての人が観るべき作品。彼が開発した兵器が、今の世界を創ったと言っても過言ではない。戦争を終わらせる目的で創られた兵器は、大量に製造され、威力も上がってる現代を、オッペンハイマーたち科学者はどう思っているのか。
原爆投下シーンが無いことが批判されているが、そこは大きな問題ではないと思う。原爆の父と言われたオッペンハイマーが、何のためにこの兵器を作り、なぜその後の水爆開発に反対したのか、自分が造り上げた兵器が世界の在り方を変えてしまったことに対する苦悩こそが、この映画で重要なポイント。
グラシネのIMAXで観たが、映像はもちろん音響の迫力が凄まじく、貴重な映画体験をさせて貰った。
