ワンコ

オペレーション・フォーチュンのワンコのレビュー・感想・評価

4.0
【発想の転換】

監督がガイ・リッチー、主演がジェイソン・ステイサム。

自ずと小気味の良い展開とアクションやドンパチに期待が集まってしまいがちだが、この「オペレーション・フォーチュン」については、期待ほどじゃないかもしれない。

ただ、今回の作品の面白さは、実は違うところにもあるんじゃないかと思う。

(以下ネタバレ)

スポーツの日の連休明けの10月10日火曜日、日本の全銀システムがトラブって、銀行間の送金が出来なくなってしまった。多くの人の生活や企業活動に支障が出たのだ。

これは国内の話だが、いざグローバルに目を向けると、経済制裁のために、日米欧諸国は一致して、ならずもの国家ロシアのほとんどの銀行をSwiftと呼ばれる国際金融決済のネットワークから締め出した。
ロシアはしばらくは耐え忍んでいたが、ウクライナとの穀物輸出合意から離脱し、復帰のための条件の一つとして、ロシアの農業銀行をSwiftに復帰させることを挙げたのだ。

世界の主要通貨システムも含めて、こうした金融決済ネットワークは、究極にして最大のプラットフォームなのだ。
大手IT企業が如何にプラットフォーマーと呼ばれようが、このシンプルにして強固なプラットフォームには敵わないのだ。
更に言えば、そのコアにはドルが存在する。
決済通貨はドルが当たり前というのもあるが、ルーブルで代金を受け取りたいなんてやつはほぼいないに等しいし、あれだけ経済発展しても人民元だって嫌だってやつは多いのが現状だ。

そして、この映画の発想の転換は、こうした金融システムを滅茶苦茶にして、もっともベタでローテクな投資アイテムである「金」でゴッソリ儲けようとする輩を登場させたところだ。

ITを象徴する暗号資産、フラッシュトレード、これまで様々な詐欺映画が考えられてきたけれども、流行りのAIで、グローバルな金融システムを破壊して、金の延棒で儲けようなんてなかなか斬新じゃないか。

まあ、相当AIが学習に学習を積み重ねないとダメだろうし、2つや3つどころか6つや7つの多要素認証の時代がすぐそこに来てるし、そう簡単に超多額の送金は出来ないと思うけどね😁

まあ、合格。
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