若大将オーウェン

ノースマン 導かれし復讐者の若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

4.5
ロバート・エガースまたやってくれた!ホンマにおもろい映画見せてくれます。一体何を見せられているんだという怖さ、面白さに溢れたパワフルな映画。

スケールが広がった本作は迫力満点のスペクタクル。北欧神話をベースにしてるので、超常現象というか飛躍した表現多数ですが、10世紀のアイスランドは本当にこうだったのでは?と思わせるリアリティのある描写が真に迫る。

人物を正面から捉えたカメラ目線のバストショットと長い1カットを織り交ぜたうまさ。1カットは当たり前だけど見せ方が計算されていて面白い。というか大前提として撮影、編集、照明、音響といった技術のレベルがめちゃくちゃ高くてそれだけで見れちゃう。

呪術的な力が遥かに大きかった時代、まだ人間が獣と話せた時代を描くことで人間の根源的なものに迫る。

そういう原始的なものに触れたんじゃないかという面白さ。でも話は復讐譚でめちゃくちゃ分かりやすい。

スケールは大幅にアップしてるのに、作家性は失われずアクションも迫力満点。アクションというか暴力。

カラス、青狐、狼といった動物との絡みも最高。
野蛮なクディッチみたいなスポーツもめっちゃ笑えたし、なんなら最初のウィレムデフォーの儀式から笑えた。
迫力ある演劇を見て思わず笑っちゃう感じの笑い。
笑えるけど人が死んでいくところとかギョッとするような描写もあってホラーのような怖さもある。

しかも役者陣は豪華で華を持ちつつ、完全に作品世界に入ってる。

上映後、宇野さんのトークで「作品は昔の世界を描いてても、視点は現代を向いてる」という話があったが、本作はなりすましつつ、反撃の機会を狙え、信念(約束)は守れというメッセージなのかなと思った

あとはこれも宇野さんのトークで言ってたが、この内容をユニバーサル映画でやって、ちゃんとヒットしてるのが本当すごい

他にもトークでロバート・エガースのインタビューから「我々(人間)が何処からきて何処へ行くのか?」を描いてると言ってたがまさにそういう映画

1月公開されたらまた見に行きたい!

ps
イメージ的にはアレクセイ・ゲルマンの「神々のたそがれ」のエンタメ版というか…