『ウィッチ』『ライトハウス』のロバート・エガース監督による壮大な復讐譚。両親を奪われ国を追われた王子アムレートは、数年後父の仇と母、国を取り戻すべく蜂起する。アレクサンダー・スカルスガルド、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコール・キッドマン、イーサン・ホーク、ウィレム・デフォーら豪華キャストの共演も話題となった作品。
前作『ライトハウス』は劇場で観たのだが、ロバート・エガース監督作はやはり大画面で観てこそ映える。広大な自然と血肉飛び散る壮絶な暴力を陰鬱な映像に落とし込むことが多いのだが、本作は監督のこれまでの作品のらしさを膨大な予算のもとミックスさせているため、壮大な映像スペクタクルとなっている。とはいえ、序盤の戦闘シーンの後は、国というか村のような小規模なスペースでの物語展開となり、スペクタクル要素は感じにくくもなっていく。終盤の淡々と復讐を果たしていく暗闇での一幕、そして溶岩の流れ出す高温地帯でのラストバトルは目を見張るものがあるが、それ以外はあまり期待値を超えてこない。
そして、最早監督のお墨付きとなったアニャ・テイラー=ジョイは、主人公を導くキーパーソンとしてヌードも厭わぬ大胆な姿を披露。元々『ラストナイト・イン・ソーホー』で一目惚れしたのだが、本作では役者としても新境地を感じさせる確かな存在感を放っていた。