Jun潤

マリッジカウンセラーのJun潤のレビュー・感想・評価

マリッジカウンセラー(2021年製作の映画)
4.0
2023.01.17

予告を見て気になった作品。
昭和の仕事人間が、現代の婚活を支援するというこれぞ邦画な感じ。
渡辺いっけいは昔から好きな俳優さんなので、演技・内容共に期待大です。

営業一筋35年の赤羽昭雄は、社内に突然設けられたブライダル部門のために、時田母娘が営んでいる結婚相談所で研修を受けることになる。
そこで共に仕事をすることになる結衣と共に、様々な人の結婚や恋愛に関するお悩みに直面していくが、昭和気質な昭雄には理解できないことばかり。
相談者たちや結衣も最初は昭雄の精神論に困惑するが、徐々にその行動力に救われてゆく。

ん〜、これはいい、心ほんわか時々クスリとなるコメディ作品。
窓際に追いやられてもめげないおっさんと仕事に悩む結衣の凸凹コンビ具合もまたいい。
相談者の方々の年齢が近いこともあって、同性に対しては情けなく、女性に対してはギャップを感じるなど、お見合いなどが他人事ではなくなってきた今日この頃、新しい発見もある作品でした。

今作はなんと言っても物語とキャラクターのバランスがとてもいい。
崖っぷちおじさんが新天地で再スタートを切るという、一つの王道の形のストーリーのため、先は読みやすくかつ落ち着いて観れるし、結婚相談という題材上、色んな人が出てくる群像劇として色んな形で笑かしてもらいました。

お見合いと聞くとなんだか古臭い響きですが、マッチングアプリが流行っている昨今においては逆に馴染み深いというのもまたおもろい。
晩婚化や若者の恋愛離れとやらで、いないとも言い切れない相談者も、妙にリアルさがありましたね。

個人的にはあまり昭和気質は好きではないのですが、今作を観ると、現代の若者の方が他責思考で能動的な行動力に欠けているのかなと思ったり。
昭雄の、ウダウダ悩んだり迷ったりせずに、自らの経験と、それに頼り切りにならずちゃんと新しいことも学んで、相談者というお客様のために真摯に行動する姿からは、やはり昔の人の考え方からも学ぶことがあるんだなと思いました。
しかしせっかくの凸凹コンビなのだから、昭雄の方にも現代の人に寄った変化をして欲しかったところも少しあります。

昭雄や結衣、十和子それぞれに結婚やパートナーに対して色んな経験があるからこそ、これから結婚に向かおうとする人にちゃんと考えて行動してほしいという熱意は伝わってきましたね。
個人的に、昭雄の妻、十和子の夫が天国で待っているなら、冥土の土産は多い方がいいというのも、亡くなった人が生きている人に与えるメッセージの一つだということも印象に残りました。
Jun潤

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