ロアー

シラノのロアーのレビュー・感想・評価

シラノ(2021年製作の映画)
3.7
有名なお話なのであらすじだけは知っていたものの、作品としてちゃんと観るのは初めてでした。

大きな鼻にコンプレックスを持っているというシラノの設定が今作では小人症に置き換えられているんだけど、そのシラノを演じているピーター・ディンクレイジがめちゃくちゃかっこ良かったし、めちゃくちゃ素晴らしい演技でした。

監督がヘイリー・ベネットの旦那さん、脚本がピーター・ディンクレイジの奥さんという2組の夫婦による映画というのを後から知ったんですけど、だからこんなに主演2人の良いところが引き出されているんですね。その情報を知って、益々映画の深みが増した気がします。

文武両道で秀でた能力を持っているのに、その容姿と彼女を愛し過ぎている故に、こんな自分では釣り合わないと想いを打ち明けることができないシラノ。ひたすら一途にロクサーヌを想い続け、気持ちを抑えつけているシラノの表情があまりに切なくて素晴らしかった。あの下がり眉と悲しそうな目がたまらなく切ない切ない切ない。
ずっと前に途中まで観たきりなのでほとんど覚えてないんだけど、確か「GOT」でもピーター・ディンクレイジって良い感じの役どころだった気がする。「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」配信前に、やっぱりもう一度「GOT」をおさらい鑑賞するしかない気がしてきました。

ロクサーヌに関してはかなり強かな性格だったので、パパ活に失敗して痛い目に遭う系女子だなと思って最初の方は好きになれなかったんですけど(ただ、どこもかしこもやわらかそうで白くてふわふわしててヘイリー・ベネットはめちゃくちゃかわいい)、最終的にはロクサーヌの状況も中々かわいそうだと思ってちょっと同情的な気持ちになりました。
でも多分、気のせいですね。だってあの子、あまりに天真爛漫で衝動的で、恋する自分に恋し過ぎてたもん。最後もホントにシラノのこと好きだったんかな?場の雰囲気に気持ちが高まって「好き!」ってなっただけだったりしない?まあ、それでシラノが報われてるならいいんだけどさ・・・
シラノの想いが余りに深過ぎて、ついロクサーヌの気持ちが浅いように感じてしまいました(でも、あの想いの深さは中々対等に返せるようなもんじゃないな)。
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