かとぅーらす

イニシェリン島の精霊のかとぅーらすのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.0
全然わかんねぇ…これ、何を暗喩してんだろう…。
表層的には、おっさんとおっさんのケンカという、何ともクソほど華がないことを延々とやっている。笑
次に俺に話しかけたら俺の指一本ずつ切るからな! は、おっさんならではで、途中から小学生レベルのケンカとはステージを画してくる。
単純に愛情や友情を描いてるわけではないのはわかるんだけどねぇ…アイルランドならではの何かがあるのかなぁ。
このおっさんのケンカだけでやってくの…? クソほど地味で興味を惹かれなさ過ぎるんじゃないか…? 最後まで保つのか…? とド序盤から危惧していたけれど意外にも普通に見てられた。役者が秀でて素晴らしい、だけではなく、セリフの掛け合いや映像の中にほんの少しのおかしみをエッセンスとして忍ばせてるのが巧みだった。雰囲気やたぶんテーマ的にもふざけ過ぎると作品が破綻するっていうのに、そうならないギリギリを見極めて踏み込んで作り上げたバランス感覚が頭抜けてる。すごいな。力量も大胆さも。
最近はしっかりしたコリン・ファレルばっか見てたから、こんな情けなく困惑しきりの子供みたいなダメなおっさんって超久々。ってか初見じゃねーかな。にも関わらず上手いんですよねぇ…さすがとしか言いようがない。
ケンカ相手のおっさんもすごく上手かった。
バリー・コーガンって聞き覚えあるなぁと思ってたら、聖なる鹿殺しのあのムカつくガキか! なるほどここもまた達者だよな、そりゃ。
わからないこと自体が悔しいし、100%楽しめてないのも悔しくて惜しい。テーマなんなんだろうなぁ。
と、背骨が見えてないのにそれなりに楽しめたってことはかなりの良作なんじゃないかな、実際。
どうも煮え切らん感想になっちっまったぜ。悔しい!