出演されている演者さんは総じて素晴らしいのだけど、コリン・ファレルは群を抜いて良かった。情けない表情や愚かとも言える行動には少なからず同情や滑稽さを覚えるし、それ故に終盤の面構えの変化にはっとさせられる。
諍いの内容が徐々に変質していき、「どちらかが黙る(墓に入る)まで終わることができない」というのは彼らの島外で行われている内戦と同じで、その不毛さや遣りきれなさを感じた。
価値観の相違を埋めようとしながらも、結局は他者の意見を尊重しようとはせず、会話しているように見えて己の主張だけを通そうとする姿は見ていてもどかしいけれど、私も側から見たらきっと彼らと同じなのだろう。
個人的にコルムの芸術を通して自己存在を残したいという思想(というほど大層なものではないかもしれない)に山月記の李徴を思い出した。