KingKazukiManji

イニシェリン島の精霊のKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
2.0
久しぶりにマジで萎えた作品であった。

本作は自分には合わなかった。Filmarksで低評価にしている作品は、映画として成り立っていないと感じたものが殆どで、映画としての完成度は高いのに、嫌いだったという理由で低評価にできた作品に久しぶりに出逢えた。映画としての完成度の高さよりも、個人的な嫌悪感が勝ったためである。

色々あるが、個人的にコラムの行動が解せなかったのだ。人には合う合わないがあるし、好き嫌いもあるだろう。だから、考え方の違うパードリックを避けることには頷けた。しかし彼は、幾ら拒絶しても解ってくれないのだ。それならば、指を切るという自傷的強行突破にでなくても、イニシェリン島から妹のように本国へ逃げれば良かったのではないかと思ってしまう。彼はどちらか選ばなくてはならなかったのだ。それでコラムは結局島に残ることを決めたのなら、パードリックがウザく付きまとってくることも許容しなくてはならなかったはずなのだ。何故なら島という共同体は、物凄く狭いコミュニティーだからである。そこからパードリックが追い出されたのなら解るが、彼は他の島の住人たちには受け入れられているのだ。そう、彼を徹底的に嫌っているのはコラムだけなのだ。であれば、普通に考えてコラムはこの事態を脱却するために、パードリックと距離をおけば良い話であったのだ。それを、頑なに自分のエゴを譲らず(譲らないことも、もちろん大切であるのだが、彼の優先順位としては、パードリックと離れることが、何よりも高かったはずなのだ)、自分の指を切り落とすという頭のおかしい行動をするのだ。ここがどうしても納得できなくて、自分の中ではコラムというキャラクターは消化不良であった。そして嫌悪感しかなかった。

これは個人的な考えであるが、話の合う合わないは、人それぞれである。もしそのコミュニティで話が合わなければ別のコミュニティに行けば良い話であるのだ。少なくとも自分はそうやって生きてきた。本作の舞台は島であり、閉鎖的であるからこそ、余計にそこのコミュニティを抜け出す難しさというのはあったはずだ。だけども指を切り落とす度胸があったのなら、別のコミュニティにでも行けば良かったのではないだろうかと思えてならない。

この考え方は自分がまだ学生ということが大きいかもしれない。社会に出て、働くようになったらそうは言ってられないのかもしれない。生きていくためには耐えなくてはならないこともあるのだろう。

コラムの人生無駄にしたくないという考え方は好きであった。
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