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イニシェリン島の精霊のぴーのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.5
タイトル的にファンタジー系の映画なのかな?と思って見始めたのですが、蓋を開けてみたらバチバチのヒューマンドラマだったので驚きました。

しかもおじさんたちが思春期の少年のような謎すぎる理由により喧嘩してるだけという予想の斜め上すぎる内容の映画だったので危うくパニックになるところでした。

それでもちゃんと最後まで見れてしまったことは、秀逸な脚本と俳優さんたちの演技が素晴らしかったからだと思います。会話劇だったので全体的にヌルッとはしてましたが、個人的にはとても面白かったです。

中盤くらいあった、優しさとモーツァルトについて議論する(というかほとんど喧嘩してる)シーンが結構好きでした。どっちの主張も分かるし、主人公とコルムの個性も際立ってて良いシーンでした。最後の妹さんの一言もナイスでしたね。日本の落語にありそうな締め方だったので良きでした。

本作に限らずですが、コリン・ファレルさんに幸薄中年男性をやらせたら右に出るものはいませんね、いや本当に。「聖なる鹿殺し」や「ロブスター」然り、幸薄中年男性としての説得力がレベチですよね。演技力はもちろんですが天性の素質みたいなものを感じます。本作もだいぶ可哀想な感じに仕上がっていたので、その辺りも見所なんじゃないかなあと思いました。面白かったです。
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