島内の出来事は皆が共有できるほど小さなイニシェリン島。退屈が蔓延るが人々は満足していた。しかしその日は、パードリックにとって退屈でなくなった。長年の友コルムの機嫌が悪かったのだ。些細な変化を気にしないパードリックだったが、コルムの態度は過激になっていった。
面白かったです。
ロケ地アイルランド、イニシュモア島の美しさが際立ちます。
コルムに感情移入しても、パードリックに感情移入しても、どちらも等しく楽しめる作品であると感じられるのが、この作品の秀逸なところだと思いました。
パードリックに感情移入すると、最後はムカムカしそうですね。
1番印象的だったのは、コルムが「ロバを殺した」と懺悔したシーンでした。
他と比べると少しくどいシーンではありましたが、それだけ監督が伝えたかったところだったのでしょうか。
パードリックがロバを大切にしていたシーンは、印象深い表現では、あまり観客には見せていませんでした。観客は意味がわからなくとも、2人は長年の友人なので、コルムはパードリックをどれだけ傷つけたのか重々に理解していた。
そのバックグラウンドを彷彿とさせる懺悔。
そして、やはりその重みを理解できない退屈な神父。
文化人のコルムと通俗的なパードリック。
この争いは「ボタンのかけ違え」という表現で正しいのか？
さらにはこのアイルランドという地も、この争いの意味を強めているようです。
本当にいい作品でした。
