寂々兵

蝶採りの寂々兵のレビュー・感想・評価

蝶採り(1992年製作の映画)
4.4
古城で暮らす2人の老婦人を取り巻く人間たちを描いたシニカルな喜劇で、ユーモラスながらも容赦ない視点がオリヴェイラの『階段通りの人々』を彷彿とさせる。この古城を何とか買い取りたい商社マン役に日本人が出ているのだが、ステレオタイプな人物像はさて置き、数人の社員が優雅に自転車で砂利道を走るなど完全にイオセリアーニ色に染まってて笑えた。資本主義による秩序の崩壊と笑うに笑えないチェコ・ヌーヴェルヴァーグ的余韻。時間がゆっくり過ぎていくのを楽しみたい時にこれ以上の作品は無いと断言できる。大傑作。
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