しん

BLUE GIANTのしんのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.8
最高のマンガを最高のアニメーションにしてもらった。熱い涙が静かに流れる傑作でした。

まずは音。当たり前ですが、『BLUE GIANT』を冠した作品の音楽が酷ければ、全く評価に値しません。本作は心の底から込み上げるような音を何度も聴くことができました。最後の演奏は映像表現もあいまって、その場で拍手を送りたくなるほどでした。もちろん映画館なのでそんなことはしませんでしたが、心のなかではエンドロール中も手を叩いていました。

これだけで大満足なのですが、本作は回想シーンの入れ方が秀逸でした。下手にドラマパートを間延びさせることなく、曲を介した回想シーンに落とこむことで、2時間の尺でもストーリー解釈をぶれさせず、かといって曲のパートが物足りなかったともさせない絶妙なバランスを保っていました。

主人公三人の声がもう少し作品の雰囲気とあっていたらとか、曲のシーン以外の背景となる絵をもう少し動きのあるものにしてくれたらとか、細かな文句がないわけではありません。しかしパワーで押しきられました。そしてそれでよかったんだと思います。素晴らしいJazzでした。
しん

しん