かずみ

BLUE GIANTのかずみのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.1
原作未読だけど、レビューを見る限り一旦未読のまま映画を観て、その後原作で補っていく方が楽しめるように思った。
映画だと思って観たので、ストーリーの展開の早さはご愛嬌だと思っているし、その中では非常に上手くまとまっていて、話の一貫性もあり大満足。

事前に絵柄が悪いという評判があったが、CG部分の話だと思う。確かにとても褒められるものではないが氷山の一角。
これは正直、少し前から上映されているスラダンが圧巻のCG技術だったために、比較されたのではないかと思っている。
ただスラダンが異常なだけで、今のCG技術では比較的あり得ることなのでは?と思う。
それよりもスポーツに比べたら圧倒的に動きを見せるのが難しい音楽というテーマで、五感を刺激するような表現をしていたところに感動した。

上原ひろみさんの好戦的で心を前に動かされるような音楽はもちろんのこと、好みは分かれるだろうが色使いもうまく、JASSの3視点を切り替えていく魅せ方は個人的にはとても好き。
ライブを観ている時、色んなパートを観て聴いてするのと同じ感覚。

そして、原作未読で前情報無しだったので、後半のストーリーに衝撃を受けた。音楽を経験している人、愛している人からしたら、短絡的に死ぬようなストーリーよりもすごく残酷だと感じると思う。
もうその後の上原ひろみワールドが相性が良過ぎて、全てを持ってかれた。

バンド形態の音楽って、実はスポーツのようにその人が欠けると始まらないというチーム性がある。「目標がないからつまらない」と思って近寄らない人もいそうだけど、大成するにはとても狭い門をくぐる必要があるから、その努力はスポーツと匹敵するくらい大変なものがある。
そういう音楽の泥臭い部分を描いている作品だと思うから、きっとこの映画観て、原作を読んだら、音楽のことが大好きになるんだと感じた。
かずみ

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