ぴーちくぱーちく

BLUE GIANTのぴーちくぱーちくのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.8
演奏はさることながら、演奏シーンがとにかく素晴らしくて。
思想や感情や感覚が空間中身体中を駆けめぐって弾けて色彩も何もかも分からなくなるような感じ。
一瞬自分が人間という器を無くして細胞レベルでこの世界感に溶け込んでる喜びとか刺激とか興奮みたいな感じを絶妙に表現していて、アニメーションを観ているのか私の感動を映像化してくれてるのか分からなくなるような時間だった。これが没入感なの??すごい体験させてもらった。

「雪に祈る」でユキノリはとても綺麗な名前。
アキコさんの店のレコードを見たとき大が「この人はJAZZが好きなんだ」ではなく「信じてるんだ」って言ったのもなんか良かった。

本気の人・頑張る人・足掻いてる人…そんな人々の感情に触れてしまった時の感動が反射的に涙として出て止まらないような120分。

ただ、大の人物像が完成されすぎでちょっと怖い。彼の本気度はビリビリ感じたが、3年であそこまで揺るぎない自信と信念持てるってあまりに完ぺきすぎる。
頑張る玉田、足掻く雪祈と対照的に、大には努力する姿はあっても仲間二人が直面する困難を目のあたりにしても心配したり葛藤したりもせず、彼にはひたすらその先の光が見えてるような言動。明らかに精神構造が一線を画していて不自然だった。
個人的に完ぺきな者より不完全な者があちこちぶつかって努力する姿が好きなので、原作には大のくすぶってた頃が描かれてるのか気になった。