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BLUE GIANTのbonorionのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

少し過大評価されている気がする。原作の物語も素晴らしく、音楽も極上であったが、ひとつの映画作品としては微妙であった。

大学でドラムを始めて在学中にブルーノート東京の舞台にたてるなんてフィクションである。それ自体は問題ではなくて、それほどの実力になるまでの過程がほとんど描かれなかった。

そして音楽に関しては、宮本大のトリオではなく上原ひろみトリオの音楽であった。あまりに上原ひろみの色が強すぎる。これを良しとするかは人によるだろうが、個人的には宮本大トリオの音楽であって欲しかった。この作品はあくまで、彼の物語なのだから。

また、「ジャズの演奏」というものに視聴者を飽きさせないためなのか、曲のインスピレーションを映像化した演出がなされていたが、そのような演出はせずにひたすら宮本大がサックスを吹いている映像で良かったのではないかと思う。曲に対するイメージが映像化によって制限されてしまうのと、情報が増えることによる雑味が音楽を悪くしている。

ラスト、ブルーノートでの雪折のピアノソロシーンで多くの人が涙を流したと思う、私も泣いてしまった。しかし、これは事故で手が使い物にならなくなってしまったというシナリオ、そして上原ひろみの旋律に泣かされているだけであって、この作品の本筋で感動しているわけではない。このシーンを映画のピークに持ってきてしまったことで安っぽくなってしまった。


残念ポイントはあるが、ブルージャイアントが映像化され、上原ひろみトリオの楽曲が聴けたことはとても嬉しかった。
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