このレビューはネタバレを含みます
岸井ゆきの演じる真奈が、浜辺美波演じる親友・すみれを亡くした喪失と向き合い、乗り越える過程を描く。
贅沢すぎる間の使い方とネタバラシ的な震災要素に好き嫌いが分かれそうだが、自分は肯定派。
がらんとしたすみれの部屋に始まり、陽光が降り注ぐ真奈の部屋で終わる。
「わたしは光をにぎっている」に続いて中川龍太郎監督は空間の撮り方が抜群に上手で、ストーリーを上手く補完してくれる。
ドキュメンタリー的な震災描写やアニメーションの差し込み方を含め構成はかなり意欲的。一歩間違えれば空中分解もあり得たと思うが、2時間によくまとまっている印象。
主演の岸井ゆきのはさすがの演技力。
ただ台詞回しが冗長で、会話劇としての面白味に欠けるのが残念。
真奈とすみれ、2人の関係性が物語の肝であり、会話からそれがもっと浮かび上がってくれば、傑作になり得たのではと思う。