しゅん

乱れ雲のしゅんのレビュー・感想・評価

乱れ雲(1967年製作の映画)
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『監督 小津安二郎』において「小津映画では雨が降らない」という指摘がされているが、逆に成瀬はよく雨を降らせている。まぁタイトルが「乱れ雲」だから降らないほうがおかしいけど。しかし、雨の優しさに比べた時の晴れの不穏さときたら!小さい相合傘に入りきれない二人のシーン、雷雨降りしきる中で繰り返される明滅が手を握らせるシーンの親密さに比べて、次に来る真夏の草ばたけでのキスシーンでは卑しい欲望が先立って温かみなど毛頭感じられない。その後のやけに長い踏切待ちと反復される交通事故が二人の行く先を決定づける駄目押しになるけど、その前に天気が全てを決めているようにも思う。

青森の喫茶店(無愛想な店員とのやりとりめっちゃ好き)での溢れたコーヒーカップ。家を出る時の白いバック。回想時の前夫の川に落ちそうになる足元。一瞬のアップが非常に効果的に使われている。最初の斜めにアパートの外を映すショット、直後の道の奥へ司葉子が進んでいくところはクーリンチェ感ありますね。
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