夢はポケモンマスター

ラーゲリより愛を込めての夢はポケモンマスターのネタバレレビュー・内容・結末

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

泣かされると思ってた。予想通りめちゃめちゃ泣いた。あらすじや予告で粗方のストーリーや結末は予想できるしその域は超えないけど描写が丁寧なので、情が入り込んでしまう。

確かに他の方が言うように犬の毛並みやラーゲリにいる中での体格の問題など細かいところをあげればキリが無いかもしれないけど、「戦争」という重いテーマを扱っている以上若い世代にも観てもらうためにはそれこそ「希望」を含んだこういう作品があってもいいのかなと私は思う。
私自身、戦争や社会風刺等の重く考えさせるテーマの映画は観るのに「観るぞ!」と気合いを入れないと観れないので…
もちろん、戦争の悲惨さ、人間の非情さ、そして今の社会がどう形成され私たちがどう生きていくべきかを学ぶという点ではもっと重苦しいリアルな作品も観るべきだと思うので一概にどうこうは言えないけれど、戦争時でも「希望」を持つことを諦めなかった人間味のあるこの作品を観ることで思うことは沢山あるし、変に難しく演出や伏線を入れるよりかはこのくらい分かりやすくしていた方がより伝えたいことは伝わるのかなと思う。

今まさにウクライナとロシアで戦争しているという事も今の進んだ時代で情報は入ってきてもそこの人たちの生活や思いはそこにいないと分からない、戦争を経験していない私たちのような世代が増えている中で、風化させない為の作品はいくつあってもいいのかなと思った。

登場人物も松坂桃李、桐谷健太、安田顕さんのそれぞれが戦争と関わることで見えてくる人間の本質の描写も個人的に良かった。
目の前で人が死んでしまったのを見ても尚前に進まなくてはいけない状況に自分の未来と重ねて、本能的な恐怖を感じ逃げて生きのびた自分を卑怯者だと嫌悪する人。
上司の命令とは言え、人としてしてはいけない事をしてしまったがそれは自分が生き残るための選択。人間としての本能と理性や道徳心の狭間で悩んだ結果、感情を捨てようとした人。
唯一の希望である家族に会うために仲間を売り、自分と同じ境遇にさせてしまった事に後ろめたくも仕方がなかったと正当化する人。

これらは人間が理性を持つが故の苦悩であり、その状況にまで人間を追い込む戦争の惨さ、あらゆる自由を奪う事で人間らしさも消えていく。
そんな凄惨な時代だったんだと改めて思う。

そんな中あんなに明るく捕虜でいたしんちゃんほんとにすごいと思う。
あの登場人物が1番好き。

最後に勝つのは「道義」