たまご

ラーゲリより愛を込めてのたまごのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.3
泣ける映画が皆目で良い映画だとは思わないけど、大号泣したし、感動したし、見て良かった。事実に基づいた話だから「このシーンが良かった!」っていう感想は正しくないのかな。

映画見てる時も、基本的に頭の中でぐるぐる他のこと考えちゃうけど、久しぶりにしっかり感情移入して集中して見てた。いい意味でも悪い意味でも、過酷な労働とかはさらっと描かれててテンポが良かったから飽きずに見られた。
にの含めてキャスト皆さん演技最高、、!けんてぃーも底抜けに明るくて素直な感じがとっても合ってた。王子様が歴史映画!?って思ってたけど、文句なしです。酒向さんそれ森以来ですねお久しぶりです。どす潤にも出ますよね。

奇跡が起こる!って宣伝されてたから、実は生きて帰れたとか、手紙没収されなかったとか(クロが持ってくると思ったの私だけじゃないよね)、かと思ったらそれ以上の奇跡が起きたって感じ。奇跡というより山本という人物が起こした必然か。

とりあえずなんでも写真撮っとけ!みたいな考え方にありつつあるけど、自分の目に映すこと、記憶すること、自分の中に留めておくこと、の儚さ故の意味を考えさせられる。「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで」(銭)、と重なる。

別に毎日を希望抱えて生きてるわけじゃないし、命かけて結んだ約束事なんてないけど、自分に恥じない自分でいること自体が希望というか、希望への道を進む自分になるための、ステップなのかなって考えさせられた。

あとは、この映画見てソ連=嫌な国!みたいにならなかったのは注目するべき点かなと。野球楽しんでいる人がいたり、ソ連の軍人(?)間でも個性が描かれているのが印象的だった。日本には日本の、ソ連にはソ連の正義があり、主張があり、考え方があって、悪いのは戦争それ自体であるから、絶対的にこっちが善!こっちが悪!っていうのはないよねって改めて感じるし、今の時代必要な考え方だと思う。

にの目当てで見たのが正直なところだけど、にのであることを途中から忘れられた。見て良かったけど、しばらくは見たくない。火垂るの墓と似た立ち位置かも。もちろん火垂るの墓より見やすいし、人に勧めやすい、から、多くの人に見てほしい。
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