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ラーゲリより愛を込めてのasのネタバレレビュー・内容・結末

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

終戦直前にどさくさに紛れて満州に攻め込んだソ連にシベリアの奥地まで連れて行かれた日本兵の話。

希望のかけらもない捕虜生活の中で、希望を持ち続け、満洲で別れ日本に行かせた家族を思い再会の日を待ち続ける山本幡男。「生きる希望を捨ててはいけない。帰国の日は必ずやってくる」と仲間たちにも声をかけ続け、どんな絶望的な状況でもその心構えを伝え続けた。

健気なクロの姿に誰もが癒されたんだろう。最後の黒のシーンは流石に作り話かと思ったら実話だそうで。野生の勘じゃないけど自然の何かがそうさせたんだろうな。

紙切れ一枚の電報で死亡の知らせが来る時代。訃報を信じられず何かの間違いだと待ち続ける人もいただろう。
子供の前で気丈に振る舞った次の瞬間に縁側から庭へ飛び出し、嘘つきと泣き叫ぶ妻。違うよ、ご主人は最後まで約束を守ろうとしていたんだよ、と心が苦しくなった。

遺書を届けに行くシーン。母へ、妻へ、子供たちへ。それぞれが対面した悲しみを背負いながら山本さんの遺志を伝えに行く姿が感動的だった。

作中、文書は全て没収されてしまったとのことだったけど、実話では本人が書いた原文も届いており、その文書は仲間たちが暗記し死後2年の時を経て帰国した際に家族に伝えたものと一語一句違いがなかったとのこと。

道義が必ず勝つ。

同時期に満州へ看護師として渡り、その後死亡通知すら来ず未だに行方がわからないまま、満洲で亡くなったことになっている我が祖母のお姉さん。彼女も祖国に帰る希望を持ち続け、軍人ではないにしても国のために戦い続けたのかなと思うとやはり他人事ではない気もする。

現在進行形で戦争が起こっている現代。俄かに信じ難いけどこういう思いをしてる人が今もいるんだろうな。平和な世界を願ってやまない。できることはあるのだろうか。
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