鈴

ラーゲリより愛を込めての鈴のレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.5
第二次世界大戦後のシベリア抑留者たち。
どんな環境下でも希望を失わない山本幡男と、彼に変えられ、彼と一緒に生き抜いた人たちの話。

南京虫に噛まれまくる拷問部屋や、顔面激痛になりそうなやばい酷寒、かってぇまずそうなパン、そして死にゆく同士と、見ていて辛いシーンが多かった。
けど、たまにカットインする収容所のそばの木々の緑やささめき音だけは、それでも爽やかなものに感じられる。
山本幡男という人物が収容所の人々に帰国(ダモイ!!!)への願いや母国にいたときの感性、そしてせめてもの娯楽を忘れさせないようにしてくれたからだと思う。
山本幡男がいなかったらほんとマジでいろいろと終わっていたと思う。

映画として美しく素敵なまとまりだと思って、観終わったあとに実話をどの程度再現しているのか気になって調べた。
山本幡男とシベリア抑留のWikipediaを一通り読了して、やはり実話は実話、フィクションはフィクションだと思った。(当たり前体操)
「映画ではモジミさんが事実とは違い良妻賢母に描かれている」という記載を観て笑ってしまった。別に良妻賢母じゃなくたって家族が幸せならいいだろ!笑
実際、遺書は彼らが届けるまでもなく山本幡男のもとに届いていたのかもしれないが、山本幡男はたしかに収容所の人らの生きる希望そのものだったのではないかと容易に想像できる。
鈴