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ラーゲリより愛を込めてのCinemanのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
5.0
『ラーゲリより愛を込めて』
瀬々敬久監督
2022年 日本
鑑賞日:2024年1月9日 U-next

実話に基づくかなり悲惨な物語。
もっとも戦争の時には世界のどこにでも起こっていたであろう平凡な物語かもしれないが・・・。

冒頭のシーンがあまりにも安っぽくてこれはダメだと思った。
戦場の描写があまりにも安っぽい。
兵隊たちがきれいすぎてリアリティーが感じられない。
嘘をつくのなら細部が大事なのに。
けっこうお気に入りの監督なのに、何だこれは。
岡本喜八監督の「独立愚連隊シリーズ」の方がよっぽどリアルだぞと思ったほどだ。
すべてがきれいすぎて類型的な戦争映画にしか見えなかった。

とても切ない映画なのにもったいないな〜・・・と頭の中でブツブツ文句を言いながら30分ほど観ているうちに印象ががらっと変わってきたのは次々登場する魅力的な脇役たちとシナリオの力だ。

【物語の概要】
1945年、第二次世界大戦終結後のシベリア。
零下40度の厳冬の地にある強制収容所(=ラーゲリ)では、不当に抑留された多くの日本人が、わずかな食料で過酷な労働の日々を送っていた。
死者が続出するこの地で、“生きる希望を捨ててはいけません。帰国(=ダモイ)の日は必ずやって来ます”と絶望する捕虜たちに訴え続ける山本幡男(二宮和也)。彼自身も身に覚えのないスパイ容疑でここに収容されたものの、日本にいる妻・モジミ(北川景子)や4人の子どもとの再会を信じて耐えていた。
だが、劣悪な環境に、誰もが心を閉ざす。
戦争で心に傷を負い、傍観者を決め込む松田(松坂桃李)。
旧日本軍の階級を振りかざす軍曹の相沢(桐谷健太)。
子犬の“クロ”をかわいがる純朴な青年・新谷(中島健人)。
過酷な状況で変わり果てた同郷の先輩・原(安田顕)。

分け隔てなく皆を励ます山本の行動と信念は、次第に凍っていた抑留者たちの心を溶かしていく。
やがて終戦から8年が経ち、山本に妻から葉書が届く。
厳しい検閲を潜り抜けたその葉書にあった“あなたの帰りを待っています”の一言に、涙を流す山本。
ところが、誰もがダモイの日が近づいていると感じるようになった頃、山本の体は病魔に侵される。
山本を病院に運んで欲しいと、決死のストライキを開始した松田の行動が功を奏し、山本は病院で診察を受けることに。しかし、そこで告げられたのは、余命3ヶ月という残酷な事実だった。
それでも妻との再会を諦めない山本だったが、彼を慕う仲間たちの勧めに従い、震える手で家族への想いを遺書にしたためる。
その遺書は、帰国の時まで仲間たちが大切に保管するはずだった。
ところが、ラーゲリ内で文字を残すことはスパイ行為とみなされ、遺書は無情にも没収されてしまう。山本の想いはこのままシベリアに閉ざされてしまうのか。
死が迫る山本の願いをかなえようと、仲間たちは驚くべき行動に出る・・・。
〜キネ旬webより〜

【Trivia & Topics】
✥絶品!北川景子
主役二宮和也の妻を演じた北川景子の儚げな美しさと役のハマり具合が絶品。

✥脇役たち、
中島健人、安田顕、桐谷健太、松坂桃李、酒向芳など素敵な脇役たちもこの映画の魅力です。

✥ラストの慟哭がスゴイ。
思いもかけない結末には号泣するしかない。
素晴らしく感動したスゴイ話。
陳腐な言い回しだけど事実は小説より奇なり。
いくらでも難癖をつけることができる映画だけどこの作品は多くの人に観てもらいたい。
やっぱりいいんだな〜瀬々敬久監督は。

こんな悲惨な戦争を体験したにも関わらず何も改善されず進化も進歩のしていない我が国って何なんだろう。

こんな素敵な映画を観たらもう一本観なくては寝られない。
ということで 次に観た作品がまたまた素敵な映画だったんだけどそれは次回に。

【5 star rating】
☆☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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