RyotaKondo

ブラック・フォンのRyotaKondoのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

最高に面白い。
原作はシンプルなアイデアと心理描写が巧みな短篇ホラーの傑作でしたが、それをよりドラマチックに微に入り細に入り徹底的に面白くなるようにアレンジを施し、1978年アメリカの田舎町を闇の濃い、クラシカルさの漂うムードで描き切る。

主人公を演じたメイソン・テムズは本当に70年代ホラー映画の主人公に出てきそうな(ファンタズムとかの)ルックスで、尚且つ演技力や存在感(目力!)が素晴らしく、ほとんど少年の一人芝居で引っ張らざるを得ないこの物語を完全に成立させており、本当に素晴らしい。

恐怖という意味ではオカルト要素の強い「エミリー・ローズ」や「フッテージ」に軍配があがるでしょうが、面白さではぶっちぎり「ブラック・フォン」かもしれません。未見の人に僕が言えることはもうスコット・デリクソンは信じるに値するということのみです。


オープニング映像によって、これはアメリカ全土、ひいては世界中で起こる子供たちの失踪・殺人事件や、虐待のメタファーとして機能しており、「声なき者の声を聞け」と言わんばかりのクライマックスを迎える。
原作通りの設定とはいえ、それをここまで射程の広い形で描くスコット・デリクソンの才能には恐れ入るし、「ドクター・ストレンジ2」を諦めてまで手がけた本作にはその価値は十二分にあったと断言します。傑作。
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