けーはち

ブラック・フォンのけーはちのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.6
1978年、平和な郊外の住宅地を震撼させた少年連続誘拐殺人犯の正体はイカれた手品師。彼に捕まった主人公が、監禁部屋に捨て置かれた古い「黒電話」の力を借りて、犠牲となった少年たちの霊と交信し、殺人鬼に抵抗!──ジャンルとしてはサイコとオカルトが出てくるホラーなのだが、犠牲になった皆の力を借りて恐怖を超えて悪に打ち克つ成長譚、爽やかなジュヴナイル展開。この後味には覚えがあると思ったら、本作の原作者ジョー・ヒルはスティーヴン・キングの息子。イカれた手品師が風船を手に近寄って子供を拐う様子はピエロに置き換えるとそのまま「IT」で、少年が被害者の霊と交信、奇妙な協働・共闘関係を結ぶのは「シャイニング」、郷愁漂う時代設定と少年時代の友情の果て、危うい冒険の経験を得て成長する主人公の様子は「スタンド・バイ・ミー」だ。製作陣の意図もあろうが、「原作者、親父さん好きすぎだろ」と微笑ましい気持ちになった。