ShinichiAndo

愛すべき夫妻の秘密のShinichiAndoのレビュー・感想・評価

愛すべき夫妻の秘密(2021年製作の映画)
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50年代に全米で大ヒットした「アイ・ラブ・ルーシー」の主人公夫妻役であり、実生活でも夫婦だった二人の“ある1週間”を描いた物語。

次々と畳み掛けるニコール・キッドマンの台詞の迫力と、様々なドラマを同時に走らせながらラストで一つに集約させる鮮やかな脚本は、さすが「シカゴ7裁判」のアーロン・ソーキン監督。人気番組の存続と夫婦生活を揺るがす最大の危機を、ドラマ本番収録までの1週間で解決しようとする物語と同時に、日々リハーサルを重ねながら「アイ・ラブ・ルーシー」の台本をブラッシュアップしていく過程と、番組誕生までの夫婦の過去が絶妙にリンクしていく脚本が本当に絶妙なんです。

そして、50年代当時の映画業界とテレビ業界の越えられない壁や、性別、年齢、出身地、ルックス、そして政治信条など様々な差別や問題を抱えながら、カメラの前では笑顔で“豊かなアメリカ”を演じ続ける俳優たちの悲哀が描かれているところも良かった。

本作でゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞したニコール・キッドマンの攻めの演技はもちろん、(受賞はならなかったけど)主演男優賞にノミネートされたハビエル・バルデムの受けの演技も素晴らしかった。助演ではなく主演なのも大事なポイントなんです
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