とんかつ

愛すべき夫妻の秘密のとんかつのレビュー・感想・評価

愛すべき夫妻の秘密(2021年製作の映画)
4.4
はぁ……、めちゃくちゃ面白かった。

夫のデジにゴシップが出たり、妻のルシルに共産主義者の疑いがかけられたりで、夫婦のキャリアは暴落しかねない状態に。
このピンチを救うべく夫婦で共演している、sitcomの革命的存在の番組「アイ・ラブ・ルーシー」の収録に、命をかけて臨むまで。
さらに、この夫婦がどのように出会ってどのような関係を築いてきたかを描く。

ルシルにとっての喜劇を通すため彼女は苦労する。その姿が印象的だった。実際に、彼女のセンスはこの映画に出てくる誰よりも抜けていた。筋が通っていてキャラの像もブレないし、即座に辻褄が合う上に笑えるアイディアが出てくるから。
でも、大勢の人間との共同制作である番組には、彼女の意見はなかなか通らない。
この時のもどかしさすごくわかる。そりゃ自分にとっては自分のアイディアがいちばんなんだもん。だから私は人と一緒にものづくりをするのが大の苦手だと思って諦めている。
彼女もきっと1人向きだと思うんだけど、嫌々でも献身的に向き合ってるのがすごいなと思った。

この作品を見て、何よりも番組を作っていく過程が私には印象的だった。脚本を作り、本読みをしながら意見を出し合い、リハでもまた文句を言う。
常に意見が満場一致とはいかない。よくよく考えてみたら、皆が正直に意見を出し合うのであれば当たり前の事かもしれないけれど、やっぱり意見の衝突ってめんどくさい。
私はもうルシルへの共感でいっぱいいっぱい。

これが実話か……。話だけなぞっても映画そのもの。
ラストはもう、どうしましょこれ。こんなドラマティックな事ありますか。ああー、面白かったぁ〜。


ニコール・キッドマンとハビエル・バルデムのさすが過ぎるハマりっぷりに圧倒された。こりゃ賞も貰いますわ。2人ともRicardosそのものだった。
ニコールは50sルックがめちゃ似合ってるし、ストイックな姿はまるで本人のように見えた。
デジなんてキューバ人の設定があるからハビエルにしか演じられないんじゃないか。

いろんなハビエルが見れたのも良かった。
コンガ叩きの彼、歌う彼、パジャマ姿の彼、子供を寝かしつける彼、いじわるに脅す彼、裏切る彼。
彼の演技には隙がない。冒頭辺りでは、彼がのびのびと演じられる役かなと思いながら見てたけど、そんな事無かった。めちゃ大変な役だと思う。
アコギ弾きながら変な歌詞の曲を歌う彼がかわいい。

脚本がすごく良かったなぁ。そうこれこれ、私が好きなのはこういうセリフ達なんだよ……。またリズム感も良かった。
コメディ番組を題材にした映画らしく笑えるシーンがあるのが良い。
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