路肩のロカンタン

デューン 砂の惑星PART2の路肩のロカンタンのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.0
画の力、音の力

広大な砂漠の中にポツリと浮かぶキャラクター、対照的に人物だけで埋め尽くしている群集
西暦1万年も向こう側にある遠未来世界を静かに特大スケールで切り取った前作に比べ、今回は主人公の比較的ミニマルな視点から始まり、未来視のフラッシュバックとモンタージュを交えながら徐々に惑星間を巻き込んだ大戦争へと拡張してゆくさまが見事
同時に血塗られた権利闘争と運命の呪縛に囚われてゆく度に、側にいた一番大切なものを手放さなければならないというテーマもかなり分かりやすい
そして予言者=英雄の偶像を巡る信仰についての映画でもある(南部に原理主義者がいる、砂塵にまみれた原風景というこれまた分かりやすさ)
本当に別の惑星にあるひとつの神話(勿論それらの賛否も含めて)を観ているようだった
細かな美術や徹底された人物造形美、その世界特有の風習、原作未読でも何となく判読出来る造語集、前作にはみられなかった(もしくは単に私が気付けなかった)音の演出(囁やき声、砂嵐中のくぐもった音、何故か権威を得ると凄む度にデデーンと鳴るやつ)が、途方もない程遠くにある世界にこれ以上ないほどのリアリティーを湛えているのだと思う
次作も、こうやって遠くまで連れ出していってほしい