路肩のロカンタン

インフィニティ・プールの路肩のロカンタンのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.5
B級ジャンル映画の盛り合わせ

トリッピーな高速モンタージュで独自の作家性を見せつけるも、設定やガジェットはまんま父親からの転用だったのには少し萎えた前作
今回はクローンSFやら土着信仰やら白人≒真の野蛮人による未開拓地蹂躙物やら、とにかくありとあらゆるジャンル映画の旨味成分をトッピングしたかのような闇鍋作
勿論、お得意の暴走トリップ描写も健在

ミア・ゴスを筆頭に演者たちの怪演も冴え渡っており、自身のクローンへの加虐欲というサド/マゾの両極端を行き来するような性的倒錯感を描いたのも新しい
それは自らの手首を伝う血を見て生を実感すると同時に、内在するコンプレックスを超克して生まれ変わるための洗礼のようにもみえる

身体だけ見ればどう見てもマッチョイズムの権化のような、格好良すぎるアレキサンダー・スカルスガルドをこのような配役にあてたのも良い

もう一人の自分を殺して生まれ変わるという神秘体験
もう一人の自分を殴り殺して一人前の男へと生まれ変わるという虚妄
結局、それで破壊尽くされるのは自らの精神だけなのである