路肩のロカンタンさんの映画レビュー・感想・評価

路肩のロカンタン

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劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:(2024年製作の映画)

3.7

楽しく過剰なキャラクターたちと引き算的な演出の合致

そもそもTVアニメシリーズの総集編(再編集)映画を殆ど観たことがない気がする、エヴァとかまどマギぐらいか?
冒頭から時系列を入れ替えて各キャラの前
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.5

神話から英雄譚へ

前作ほどの画的なインパクトや精神的なマッドネスはないものの、この荒廃した秩序なき世界の秩序について、より細部をクローズアップしていくような上質なファン・ムービーだった
特に、そうい
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関心領域(2023年製作の映画)

3.5

地獄の環境音映画

虚構のスクリーン上にホロコースト(ショアー)の地獄を再現させようとする試みは古今東西の作品で行われてきたが(密閉された空間に人々を詰め込んでは火を放つ、毒ガスを散布する等)、高い塀
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

5.0

山と都市の両側から眺める善悪の彼岸

いや、最高傑作じゃないですか?
正直舐めてましたすみません

冒頭、ゴダールチックなフォントと如何にもな撮影、如何にもな音楽
長回しで淡々と進む入植者たちの生活
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.5

B級ジャンル映画の盛り合わせ

トリッピーな高速モンタージュで独自の作家性を見せつけるも、設定やガジェットはまんま父親からの転用だったのには少し萎えた前作
今回はクローンSFやら土着信仰やら白人≒真の
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

プロメテウスは政局の罠に飲まれる

いつもの時系列カットアップ演出
今回は視点を一人称に統一しているため(モノクロパート除く)、本人が対峙しているトラウマや罪悪感をより効果的にスクリーンへと映写するの
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フォロウィング(1998年製作の映画)

3.8

ちゃんとした時系列シャッフル・クライム・サスペンス

ならず者同士の化かし合い、ある意味「プレステージ」の原型
しかしあれほど途中で反則的な超自然的現象が持ち込まれることもないので割とすんなり納得出来
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

画の力、音の力

広大な砂漠の中にポツリと浮かぶキャラクター、対照的に人物だけで埋め尽くしている群集
西暦1万年も向こう側にある遠未来世界を静かに特大スケールで切り取った前作に比べ、今回は主人公の比較
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

''落下''を手に取り、推量すること

法廷サスペンスと家庭内不和を乗り越えるためのドラマが巧みに溶け合っている
暗示の混濁した冒頭から始まり、徐々に立体的になってゆく人物像
証拠や証言を重ねる度、そ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.6

根源的恐怖と悪夢的コラージュ

前半はまあ大変面白くみました
分かりやすく毒親ものである事を示唆しつつ、まるで初期の町田康作品のような過剰な悪夢的コラージュ
そこから母親の死をきっかけに虚実皮膜の世界
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

生はどこまでも哀れで魅惑的

クセの強い作家性を保持したまま、着々とメジャーシーンへと成り上がってゆくヨルゴス・ランティモス最新作
今回もシリアスかつファニーで、上品かつ下品な両面性が炸裂

前作での
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.5

意識の流れの分断、混濁、渦巻き

冒頭、いつもの先行エンドロール
改行、スペースなしで文字列がぎゅうぎゅう詰め、まるで無機質なビル群が上から下へ流れてゆくよう

窓を開けてから同じ卓へ座り、朝食を取る
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ナポレオン(2023年製作の映画)

4.0

ギロチンと大砲の時代を生きたダメ男

カリスマであり智将、マチズモの権威でありメンヘラであったとある英雄の悲哀の物語
とにかく美麗な画面の中から伝わる、上質な衣類にその身を包まれた野蛮というか、どのキ
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宇宙探索編集部(2021年製作の映画)

4.3

まだ見ぬ宇宙の果てを目指す巡礼の旅

宇宙人の登場する自主制作映画は、一番作り手のイマジネーションが問われる舞台だ
この作品は作者の詩情と、中国深西部の広大な風景と、何よりイマジネーション豊かでユーモ
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(2023年製作の映画)

4.5

金の掛かり過ぎた、余りに首の飛び過ぎたコント

ヤクザより100倍タチが悪い、そして頭が悪い戦国武将たちを監督が真摯に描いた結果、残虐なブラックジョークまみれの時代劇になった
これはかつてのマカロニ・
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.7

淡々と執り行われる搦め手の妙

正直、もっと板挟みものになると思っていた
愚鈍な白人男性性の象徴としてのレオナルド・ファッキン・ディカプリオの素晴らしき愚演ぶり

嫌というほど丁寧に、そしてネチっこく
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.8

ありふれた設定だが画的な面白さがある

冒頭の模造ニュース映像からしてツボでテンションが上がる
そしてデススターならぬノマードの地上のスキャニング爆撃描写に悶絶
しかし中盤以降に頭の中に細かいツッコミ
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.7

血と硝煙から解き放たれる時

最終章(らしい)今までの復讐劇の総括と多彩なアクションの連打を長尺でみせる
画面ではしっちゃかめっちゃかに人が死にまくっているものの、ガン、ヌンチャク、刀、拳闘、カーアク
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.8

80年代のトンデモ事件を元に現代的な露悪B級モンスター・パニック映画へと膨らませた
個人的には良い露悪ノリと悪い露悪ノリの混在する作品だった
人間が容赦なく食われるのは問題ないが、子供に大さじ一杯のコ
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ヒンターラント(2021年製作の映画)

4.0

歪曲された背景と心の内

ソ連での過酷な捕虜生活を終えて帰還した祖国
何もかもが別世界に様変わりした情景を異例の全編ブルーバック合成撮影で描く
これは現代のドイツ表現主義なのか、ガリガリ博士は勿論のこ
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天使の影(1976年製作の映画)

3.3

淡々と語られる卑語と深謀遠慮、世の中に対する得も言われぬ不安、違和感、詩的な映像
ドイツの抱える歴史の暗部を色濃く投影した全体主義と個人主義の軋轢、陰謀論、この息苦しさから逃れるために唯一許された死
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

箱庭に取り残される恐怖と愉楽

ウェス・アンダーソンはとにかく実写よりアニメの方が良いと思っていて、その理由は独特のデッドパン・ユーモアを形成してゆく上で実在する人物にこの手の演技指導をするのはややあ
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

どこまでも悲しくて、どこまでも美しいプロテスト映画
同時上映の短編と合わせてファウンド・フッテージの体裁を取りながら、「コロニア・ディグニダの為のプロパガンダ映画」というメタ設定で以てチリにおける史上
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.2

いつも通りの近未来モツグロ哲学満載!なクローネンバーグ御大の新作
生命倫理を問うボディー・ホラーの文脈はそのままに、今回は人体に内包される臓物にフォーカスする事で逆転的に外宇宙(新人類創世)と繋がろう
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バービー(2023年製作の映画)

4.0

美術とサーカズム
何でもかんでもピンクのパステルカラーをまぶした理想郷と、何でもかんでも複雑に絡み合った人間界とのはざまで、一人の定番典型的バービー人形が選んだ道
低予算映画から出発したグレタ・ガーウ
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

外連味たっぷりのアクロバティック祓魔映画
どうみてもチンピラ中年にしか見えないラッセル・クロウが演じる敬虔さはまさに漫画の魅力的なキャラクターそのもの

パールと同日にハシゴしたのだが、筋立ては王道そ
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.0

迫真の顔芸&居心地の悪い''間''使い
余りに凄まじいので少し笑えてくる、''笑い''と紙一重な上質ホラー

前作X同様に、どれだけベタな舞台設定でも、この監督は特有の生々しさを入れ込んだり先述した'
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

お待ちしておりましたぞ、と少年を待ち受ける不思議な世界
前半は監督の半自伝的心象風景から始まり、徐々に異界へと誘われてゆくグラデーションがとても丁寧で、とても良質なローファンタジーでした
まさに今まで
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探偵マーロウ(2022年製作の映画)

4.0

優しさと非情さの伝道師、ハードボイルドの代名詞である探偵フィリップ・マーロウにリーアム・ニーソンが挑む
チャンドラーの原作長編と恐らく実写媒体はエリオット・グールドの「ロング・グッドバイ」でしかマーロ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.0

情報の洪水
パースとアングルとエフェクトと色彩とアメコミ・ペダントリーが織り成す混沌の全てがアニメーション的快感に収斂してゆく凄まじさ
各セクションに何十人もの天才たちがいたに違いない、狂気のディテー
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

超高速ヒーロー×近過去改編タイムトラベル物
アメコミ全般は基本的に門外漢で恐らく細かいネタまでは拾い切れていないのだが、外連味溢れるアクションと近年のトレンドであるマルチバース概念を表した大味な映像に
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ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

3.0

素人集団によるグダグダ殺人後始末ものに、プワ・ホワイトの集団病理によるレイシズムという胸糞要素をトッピング

冒頭から目障りなカメラの揺れ、そしてわざとらしいワンカット(風?)を主張するカメラワーク
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