このレビューはネタバレを含みます
構成による心理操作が秀逸で、1秒も飽きることなく見切ってしまった。
最初は「テクノロジーと資本主義」の比喩であるハルコンネンと「宗教や文化の継承」の比喩であるフレメンの対立なのだと考えていた。
それが徐々にどちらの狂気も窺えるようになり、ただ事じゃないなと思った段階で、ポールがハルコンネンの血筋という事実発覚。
科学も経済も宗教も文化も、全て同じ人間が作り出した課題であり、同じ源泉に由来するということに引き戻された。
そして物語がその気付きで終わるかと思えば、まだ戦いは続く。その気付きを客に与えた今や、もはやその続きに何の意味があるのかわからない。物語の完結のために、蛇足ではありながらもまだ戦争を見せられているのではないかと思いながら視聴していた。
しかしそこでまたふと気付く。どんな戦いにも全く意味がないということを伝えられているのではないかと。
その気付きがまた腑に落ちて、最後まで争いが繰り返される結末に納得した。
全体を通してすばらしい納得感のもとで物語が進行し、終わった。
映像だけでも何が起こっているのかわかる明確さ、物語の構成、俳優の演技、音楽、どれをとっても記憶に残る映画だったと思う。