正直、ストーリーにはあまり惹かれなかった。その要因は宗教要素にあり、物語を難解にさせ高揚感を阻害してくる。『スター・ウォーズ』や『マッド・マックス』といったSFとして純度の高い作品のほうが好み。
ただ、映画は進化している事を感じさせられる。あまりにも壮大な砂の惑星は、鑑賞しているこちらを蟻地獄のように引きずり込み、現実の境界を不明瞭にする程の威力。ティモシー・シャラメの圧倒的主人公感に、行く手を阻むオースティン・バトラーの威圧感も世界観にマッチしている。
映画のパワーバランスを崩しかねないこの一本、一見の価値あり。